映画「シルク」、感想文。ネタバレあり。

公開日: | 最終更新日: 2018/06/06 役所広司さん  映画・漫画・テレビ 

まだ劇場公開しているところもあるかもですが、そろそろ見たい人は皆見たかな~ってことで、(ネタバレありの)感想をアップします。

全体としての感想は、「よかったぁ」。
良いの意味と、安堵の意味を込めて。

まずは、映像と音楽! どの1コマをとっても絵葉書になりそうなくらいキレイな映像に終始クギヅケでした。自然の風景も、町並みも、人も、服装も、とにかくすごくキレイだった。

音楽も。ストーリーを盛り上げるというよりは、映像の雰囲気を演出するという感じで。聞き惚れました。

ストーリーについて。予告などを見た感じでは、二股した男のために、2人の女が自殺するのかなぁと・・・。そうだったら、好きな話ではありませんが、役所さんが、「筋を追うんじゃなくて、感じる映画」というようなことを対談番組でおっしゃっていたので、筋は気にしないようにしよう!と覚悟を決めて、出かけました。

ストーリーが展開しはじめて、フランスの女(エルヴェの妻エレーヌ)は自我がないのか抑えているのか、できすぎた妻で、一方、日本の女(原十兵衛の妻)は、異常に積極的で。う~ん、なんなんだこれは。ストーリーは気にしないようにしようと決めていたけど、男のロマンの話なのかなぁ・・・理解不能だと。

そしたら、2通目の手紙の意味が明らかになって。あぁ~!って。納得。

そっかぁ。日本の女は別に節操ない人じゃなかった。よかった。フランスの女にも、素直な気持ちがあった。よかったぁって、2つの安堵、2つの喜び。ホントはね、多分、フランスの女の気持ちを思って切ないところなんでしょうか。

いくつか、わからない部分があったのですが、全部、自分の好みな方向に解釈しました。

- 日本の女の1通目の手紙は、恋心ではなく、原十兵衛から(日本から?)逃げたかっただけ。
- フランスの女は、自殺じゃなくて病死。

解釈はいずれにしても。結果、すご~くせつない話で。

夫がせっせと日本に行くのを黙って見守り、夫の心が自分にないと思いながら死んでいったエレーヌを想っても。(きっと)ずっと愛していた妻が悲しみのうちに亡くなったことを背負って生きていかなければならないエルヴェも。まぁ、エルヴェは、少なからず自業自得ですけど。3回目の旅なんか完全にわがままだし。

ただ、泣かせる演出といったようなところが特別なかったのと、あと、2通目の手紙の真実への驚きで、後味は悪くなかったです。人間を描くための映画ではないからでしょうね。美しい映像・音楽の余韻と、女心への納得が、気持ちよく残っています。

あとは、芦名さんの和服姿、中谷美紀さんの洋服姿がとても美しく、きっと、それぞれの服が似合う人をこだわって選んだんだろうなぁって。そして、もちろん、役所さんと國村隼さんがとってもステキでした☆

芦名さんが膝枕されるシーンは、アリエネ~!って思いましたが、まぁいいや。

――――――――――
追記(2008年3月8日)

検索してみたら、色々な感想がありました。賛否両論、否定派はこういう部分が納得できなかったんだとか、楽しんだ派は、こういう風に感じたんだとかいうのが様々で、おもしろかったです。

映画をどういう風に見るか、映画に何を求めるかに、それぞれ個性があって。感想に、個性の表れやすい映画でしたね。

- 夫婦でシネマ さん
- PICO*THEATRE さん
- ボーっとし亭 さん
- Devilish Egocentric Pictures 5th さん
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- YUKAの気ままな有閑日記 さん
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- goo映画 さん

映画情報
- シルク(SILK)、フランソワ・ジラール(Francois Girard)監督、日本・カナダ・イタリア合作、2008年1月公開

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Comment

  1. シルク

    イマイチ主役に興味をそそられないが・・・まぁ~観てみようかな【story】1860年代のフランス。蚕の疫病が発生したため、軍人のエルヴェ(マイケル・ピット)は、美しい妻エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)を残して日本へと旅立つ。幕末の日本に到着したエルヴェは、蚕業者の原(役所広司)が連れていた“絹”のように白い肌の少女(芦名星)と出会う。以来、エルヴェは少女が頭から離れなくなってしまう―     監督 : フランソワ・ジラール 『レッド・バイオリン』           原作 : アレッサンドロ・バリッコ 『海の上のピアニスト』      音楽 : 坂本龍一【comment】美しい映像と音楽に乗せて、静かな愛の物語が、情感乏しく描かれていた―いや(汗)、思うに(滝汗)、こういう淡々とした流れの物語では、主人公であるエルヴェとエレーヌの心情をもっと伝えてくれなければ、感動のバーに辿り着けないのではないだろうか。それに、全編を通して今一歩描き方に物足りなさがあったため、エルヴェの憧憬も、エレーヌの献身も、日本の神秘性も・・・全てが中途半端に思えてしまった。  絹の生産で栄えるフランスの田舎街に住む青年エルヴェは、エレーヌと恋に落ち、やがて結婚する。ある時エルヴェは、蔓延する蚕の伝染病で苦しむ街を救うため、良質の蚕を求めて、単身で最果ての国日本へと旅立つことになる。美しい妻を一人残して―長く苦しい旅の末、日本に辿り着いたエルヴェは、山形地方で蚕の業者を営む原と知り合い交渉に成功し、蚕の卵を買い付ける。それは地元に大きな利益をもたすことになり、自分も裕福となり、愛する妻と庭のある家を持てるまでになる。だが、エルヴェは、密かに日本で出会った美しい女性に魅せられていた―その女性の面影を忘れられないエルヴェは、命の危険を顧みず、再び情勢の不安定な幕末の日本へと向かうのだ。     あの女性に会いたい―  エルヴェは、日本で出会った美しい女性の神秘的な部分に心惹かれたのだろうし、その女性の描き方を見れば、監督が日本をどう捉え、どう描きたかったのかも必然的に分かってきたのだが、、、エルヴェの心理にまで神秘のベールをかけることもあるまいに・・・と思った。いや(汗)

  2. シルク

    2007年度 日本・カナダ・イタリア作品 109分 アスミック・エース配給
    原題:Silk
    STAFF
    監督:フランソワ・ジラール
    脚本:フランソワ・ジラール マイケル・ゴールディング
    原作: アレッサンドロ・バリッコ 『絹』
    CAST
    マイケル・ピット キーラ・ナイトレイ 役所広司 芦名星 中谷美紀

    「あなたの幸せのためなら、ためらわずに私を忘れてください。私も未練を残さず、告げましょう。さようなら」
    これ、女性なら覚えておきたいセリフだねー。言ってやりましょうよ、去っていく男に。クールに。サラッと。カッコえぇぇぇぇーーーo( ≧∀≦)o

    絶対に言えない。(爆)
    カッコいい女になりたいよぅ。

    シルク(絹)というタイトル通りの作品だった。上品で官能的。まさに「映画」という芸術作品の典型。それがゆえに、共感はないかな。すべて「キレイ過ぎ」なんだよね。言葉も交わしてないのに、日本人の少女が醸し出す雰囲気のみで惚れこんでしまうエルヴェも、夫に何かあったと確信しながらも最期の最期まで追及しないエレーヌも、「もぉ何で何で!?」って思っちゃう。死んじゃってからすべて手の内明かすなんて、キレイだけど、相手の心には10倍も100倍も響くだろうけど、余韻残すだろうけど、でもでもそれでいいのー!?って。んまぁ、あたしは人一倍何でも思い立ったらその場でベラベラ話してしまうヤツだから、、ね。いい女とは程遠いんです{/face2_lose_s/}

    日本人俳優と海外俳優が共演する作品はすごく興味深い。SAYURIとかバベルとかラストサムライとかね。不思議なことに、英語の会話が続いてたトコに日本語がいきなり混ざってくると聞き取れないんだ。(笑)だから日本語にも字幕がついてたこの作品はありがたい。中谷美紀の英語はすごく流暢だったなぁ。元から喋れるのかなぁ。ちゃぶ台ひっくりかえしてた人(自虐の詩)と同じ人には見えない。(笑)最近一番気になる女優さんになってきたー。

    【字幕翻訳:松浦美奈】

  3. [映画]「シルク」を観た感想など

    映画「シルク」をレイトショーで見て来た。もともと全然見たいとは思っていなかったのだけど、ネットの見つけたレビューであまりにグダグダだという評を読み逆に興味が湧いてしまったのだ。日本、カナダ、イタリアの3カ国合作の映画で、キャストもそれなりに豪華。というか

  4. シルク

    19世紀後半にヨーロッパの芸術界で起こったジャポニズムブーム。少女の幻影を追い求める青年の姿に神秘の国、日本への憧憬をだぶらせて描いた映画です。

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